春よ来い 早く来い 新春招福の願いと併せて

一夜明けてお正月となりました。招福の願いを込めて迎えた元日であります。

新春とは言うものの「今日も昨日も雪の空」の秋田ですから、この「春」は

特別な文字で目に映ります。私共雪国の者には一種の幻めいた不思議な感慨

をもたらす言葉であり、春よ来い、早く来い、とあこがれを胸に抱いてこの

新春という文字を眺めています。「新春招福」は切なる実感を込めての挨拶

です。

 

令和二年もしくは2020年というこの年の始まりに、自分のこと家族のこと

周りのこと世の中のこと、諸々の勢いのいよいよ盛んならんことを願って、

一枚の絵を掲げたいと思います。「Primavera」ボッティチェリの「春」。

図版でしか見たことないのですが意外に大きい作品のようで、その寸法は、

というと203cm✕314cm。したがって描かれる人物(というより神々)

の体はほぼ等身大(ちょびっと縮小)と言ってよさそう。目の当りにしたら

神話の世界とはいえ圧倒され画面に引き込まれるでありましょう。この絵の

意味するところ、いわゆる寓意については諸説あり謎もありと専門家をはじめ

見る人の眼と頭脳を刺激してやまないようです。

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Primavera

構図の巧みさは言うに呼ばず色彩の豪奢と美しさ、まさにルネサンスの華ともいう

べき作品です。なによりも美と官能と品位が一枚の画面に結晶しつつもどこか見る

者をぐらつかせ誘う危うさをも秘めているというのがいい。アートというものは

そういう複雑さを確かな技量をもって作品という具体的なものに結実させることが

できて初めてそう称することができるものではないかと思います。

ところで、よこしまなことで申し訳ないのですが画面の右から3番目に描かれる

花の女神フローラの表情を見るとなぜかこの人を思い浮かべてしまう。似てると

いうかそうでないというかよく分からないものの、なんとなくイメージが飛んで

行ってしまいました。んー似てないか・・・エルフのガラドリエルなんですが。

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ケイト・ブランシェット