映画『冒険者たち』 ロベール・アンリコ監督

  どこがゴールデンウイークだと言いたくなる天気だ。現在、体感温度では6℃というところだ。春風に舞う桜吹雪は、幻の光景となってしまったか。なんとかして元気を出さねばならない。映画でも見るとするか。横着だがユーチューブで机上映画館である。

 1967年の作品、『冒険者たち』を発見。フルバージョンで丸ごと見られるのはまことにありがたい。どこのどなたか存じませぬが御奇特な方がアップしてくださっておりました。

  アラン・ドロンリノ・ヴァンチュラ、ジョアンナ・シムカスのそれぞれの魅力がスピーディな展開の中に横溢する佳作。この3人の組み合わせというのが、なんとなく『明日に向かって撃て』のロバート・レッドフォードポール・ニューマンキャサリン・ロスを思わせる。2年後の作品だから、もしかして影響をうけたのかもしれない。どちらも、当時の若者の心を揺さぶった映画だ。

 

 アラン・ドロンが一応メインだったのかもしれないが、3人が皆いい。とりわけリノ・ヴァンチュラの味わいが。スピード記録に長年挑戦し続けている中年エンジニアという役柄だが、中程でちゃんと老眼鏡をかけて出てくるのが好ましい。失敗続きで落ち込むしょんぼり振りがよく似合っている。アラン・ドロンは髭面になってからが生き生きしているし、ジョアンナ・シムカスは二人の間での複雑な心の持ち様をさりげなく感じさせ、観る者を揺さぶって惹き込む。 

 

 この映画を観たのは多分69年頃。学生時代で、同級生の男3人で授業さぼって新宿まで行ったのだった。思えば映画がとても身近な時代だった。大学よりも。