偲ぶ

親しい人が亡くなった。私より十歳下の。先週御葬儀があり参列してきた。 ブログで駄文を弄する気にもなれず思いもまた取りとめもなく色々と彷徨う。 故人は20年近くの年月の間には同僚でもあり部下でもあった。またなによりも 共にジャズを愛好する者同士…

煙が目にしみる

Youtubeをウロウロしていたらこんな掘り出し物に出くわした。スタンダード ナンバーとしてお馴染みの「Smoku Gets In Your Eyes」なのだが、これをロシア のイーゴリ・フロロフが2台のヴァイオリンのためにアレンジしたもの。原曲の メロディの品の良さを生…

スピードのバッハ

まず、この楽譜を見てみよう。この間登場してもらった無伴奏パルティータの フルート譜である。典型的なバッハのスタイルが表れていると思う。たった一本 の楽器のための音符の連なりが圧倒的な音の運動性を発揮して迫る。始まったら もう音自体のエネルギー…

パルティータ再び

引き続きパルティータつながりでお時間を拝借。これ好きだなあというのを思い 出したので。同じくバッハの作品「無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV1013」。フルート一本で実に深遠なる音楽を現出させる逸品。古今東西の 数ある無伴奏フルー…

パルティータがやってくる

音もなく、ではなく音を立ててやってきた。 昨夜のこと、寝入り端にバッハのパルティータ1番が来たのだ。目をつぶると プレリュードの冒頭が脳中に湧いてきて悩ませる。何度も。それもどこかの名手 の見事な演奏としてではなく己の覚束ないやつで攻めてくる…

道草食って一年半

ついついブログの更新を先送り、というよりほったらかしにしていたら なんと一年半が経っていた。長い道草というかむしろ行方不明に近いかも しれない。新型コロナの波に呑まれないように逼塞していたという訳では ないが一応行動の不自由を満喫しつつ、また…

音が語る

何年かぶりの大雪でひどいことに。特に県南部は暮れから毎日の雪との格闘で まさに災害。疲労困憊だ。そうこうするうちにわが方面でもドカンときました。 暴風雪で広範囲の停電、風が収まっても雪は続く。黙ってのっそりと積もって いく。文字通り見る見るう…

年の初めの ALL OF ME

「謹賀新年」とまずは皆々様にご挨拶。旧2020年は思いのほかにゴタついた 年で世界中もれなく嵐に見舞われましたが、明けて2021年、なんとか穏やか な年にと願わずにはいられません。そんな思いで、雪の晴れ間に用事を果たしに 外に出て近くのお寺の…

枯葉

同じ言葉でも人によって思うことは違う。「枯葉」と聞いて思い浮かべるのが 落ち葉焚きの焼き芋の人もいるだろうし、すっかり葉の落ちた街路樹の下を歩く 時のカサコソという音を思いだす人もいるだろう。ワタシなんぞは広場で落ち葉 を集めてこんもりと山に…

11月が去っていく

今日は11月最終日。天気もまことに暗ーい感じでシトシト雨が降っている。外を 眺めては、ふーむ・・まるで北ドイツのようではないか、などと呟くのである。 行ったこともないのに。まあそんな感じに日の光に乏しい今日が霜月の晦日。 何となく気持ちにも影が…

この第九に涙す

2000年5月1日、ベルリンフィルハーモニーのヨーロッパコンサートのライヴで ある。 指揮はClaudio Abbado。ベルリンフィルの創立を記念して始まったというヨー ロッパコンサート、10年目のこの年は本拠地での開催。この第九にはスウェーデン の合唱団を招い…

チューバはエライ

楽器の変遷を見るとよくもまあこんなに様々なものを作り出してきた ものだなあと思う。とりわけ低音域楽器をより低く、の探求の頑張りっ ぷりには驚きさえ覚える。高い音の方にとは違ったなんらかの思い入れ が人間にはあったのか、あるいは今もあるのか、そ…

フリューゲルホーンの魅力、そしてセルゲイ・ナカリャコフとの遭遇

昨夜は日付が変わらないうちに記事を上げようと焦ってしまい、少々 物足りないままに片づけてしまった。なにが物足りないのかと言うと、 それはフリューゲルホーンのこと。フリューゲルホルンと呼ばれるのを よく聞くのだが何となく「ホーン」という方がこの…

寒中お見舞いと申し上げたいところなれど

本日1月20日は二十四節気によれば「大寒」とある。わが幼少の頃、 これをなんと「おおさむ」と読んでいたのである。小寒は、当然こさむ である。「おおさむこさむ」と歌にもあるから何の不思議もなかった。 恥ずかしい。無知の知を知るとは衝撃と赤面を伴…

風船をもらったら昔の映画を思い出した

初詣は近くの勝平神社に参拝が習慣である。町内ではないが、歩いて 程よい距離にある。道々いくつかあるお寺の掲示などを冷やかしながら 行くのも元日のルーティンである。 いかにもささやかな佇まいの勝平神社であるが、住民の日々の営みを 見守ってくれる…

ユトレヒト 室内楽で 年が暮れ

題してInternational Chamber Music Festival Utrecht 2019である。 12月の27日から30日までの4日間オランダのユトレヒトで開かれた。 5年ばかり夏の開催で続けていたのをこの年末年始のシーズンに戻した のだそうだ。毎年ゲストプログラマーを呼んでいるの…

小さな旅、ルパン三世、大野雄二&ジャズ

なんかこうして三つほど並べるとタイトルっぽくなるので便利である。 とはいえどっちみち暇ネタのよしなしごと、どうぞ御用とお急ぎでない 方はお立ち寄りください。 小さな旅。言うまでもなくこれはNHKの番組名で日曜日の朝8時から 放映されている。1983年4…

春よ来い 早く来い 新春招福の願いと併せて

一夜明けてお正月となりました。招福の願いを込めて迎えた元日であります。 新春とは言うものの「今日も昨日も雪の空」の秋田ですから、この「春」は 特別な文字で目に映ります。私共雪国の者には一種の幻めいた不思議な感慨 をもたらす言葉であり、春よ来い…

インポート成功

旧ブログからの記事と写真等のインポートが無事できました。 いやあ随分簡単になりました。なんともありがたいことです。 いずれも戯言の類ですがお暇の折にでもご覧いただければ幸いです。

引っ越してまいりました

FC2ブログから引っ越してきました。と言っても3年ほど全く更新せずに放置して おりましたのでほとんど廃墟同然のありさま。ひとつ新天地で心を入れ替えての 再出発もよかろうと思い「はてな」に向けて旅立ってまいった次第です。 どうぞごひいきに願います。…

Violaは早春の光

今朝はひとしきり雪がちらちらしていたが、冬の余韻のようないたっておしとやかな振る舞いで間もなく退場。やがて雲も晴れてやわらかな日差しがやってきた。さすがに太陽の角度が違うぞ。やっぱり3月なんだと背伸びしたくなる。と言ってももう12日ですけ…

音楽で眠るシアワセ

クラシック音楽はわからんキライだ眠くなる。そう公然と宣言する反骨精神みなぎる人もいれば秘かに思う控えめな人もいる。中には聴く前から寝てるスキもキライもない天下太平な人も。まあ人は様々だが、大体においてクラシック音楽というものが人類を眠りに…

なしてだ?(英訳:Why?)

願わくば所得税の還付をお国からいただきたいものと年金暮らしの分際で確定申告を退職の翌年からe-taxで行っているのです。初回にちょっとばかり戻りがあったので気を良くしたが、それは前年の給与収入が反映されたまでのこと。次の年からは雀の涙、去年にい…

北の国の音楽を聴く

あと3つ寝ると立春というのに今日は一日中摂氏零度以下という断固たる真冬日。寒いです。若い頃、とりわけ高校生というバカ真っ盛りの頃は、およそ寒いという語彙は持ち合わせず、吹雪の中をずんずん歩きほっぺたからは湯気を発し鼻からは水を放出して意気…

ジャズ イギリス シアリング

イギリス、と申しましてもいささか広うござんすと言われそうだが、まあ目をつぶっていただきましょう。なにしろ相手は連合王国だから攻略は手に余る。この際、諸兄それぞれのイメージで「あ、はいはいイギリスね」と大らかに御納得を願います。 そのイギリス…

Claire Martin を聴きながら

クレア・マーティン、イギリス人。ロンドンはウインブルドンの出身である。UKにおける The First Lady of British Jazz と呼ばれる大物シンガーなのだそうだ。1967年9月6日の生まれとくれば、まあなんという偶然、つい先週が48歳の誕生日であった…

ラジオがきっかけ

ラジオといってもインターネット・ラジオ。この頃はずいぶん高音質で聴ける局が増えた。そんな局のひとつ、Linn Jazzをなんとなく流していたのであった。 本を読みながらでも「あれっ」と気を取られる曲があるもので、このときもそうだった。ああギターのソ…

「テレーゼ」ふたたび

昨日は、せっかくだからライヴの映像がいいかなとバレンボイムの演奏を貼ってみた。あれこれ探して選んだが、何十年来抱いてきた自分の「テレーゼ」のイメージとは必ずしもぴったんことも言えないところがあった。32曲全曲演奏のうちの1曲であるからとい…

明けましておめでとうございます

どうぞ今年もよろしくお願い申し上げます。併せて、当ブログの読者の方々、わざわざお訪ねくださる心やさしき皆々様の一年の平安とご多幸をお祈り申し上げます。 さて、三が日はもちろん茫と過ぎ、すでに明日は七草かというあんばいである。ワタクシの201…

車といえば

車と言えば、でもうひとつ。1960年の前後にヨーロッパを中心にPeel P50のような冗談みたいなちっちゃな車がいろいろと作られたらしい。大戦で疲弊したヨーロッパの資材不足やスエズ動乱前後の中東情勢によるガソリン価格の高騰などがあって必要に迫られ…