ラジオがきっかけ
ラジオといってもインターネット・ラジオ。この頃はずいぶん高音質で聴ける局が増えた。そんな局のひとつ、Linn Jazzをなんとなく流していたのであった。
本を読みながらでも「あれっ」と気を取られる曲があるもので、このときもそうだった。ああギターのソロが始まったなあとぼんやり思う間もなく、「なんとなんと」と驚きとともにぐいと惹きつけられた。元来ジャズの中でもギターの演奏には弱いのだがこれはまた格別の美しさで、恐れ入ってしまった。
チューナーのディスプレイを見ると『Why did I choose you?』、ギターは Martin Taylor である。曲名もスタンダードナンバーそのもの、直球でずばりと迫る。まるで、「なにゆえに我は汝を選びしか」である。いやいや、そんな堅苦しいはずもないね。
Martin Taylor ・・・・ 天才少年がすくすくと育ったギタリストでテクニックも凄いが音の美しさも並大抵でない。この曲をだいじにだいじに弾いている。心がある。この曲、元はミュージカルのナンバーで映画『仔鹿物語』にもなったものだというが、残念ながら観ていない。グレゴリー・ペック主演だと。レンタルを探さねばとちらと思うのであった。
さて、ラジオで聴いたのは多分これだろうというのがYouTubeにあった。何度聴いてもありがたい気持ちになる。
で、どんな歌だろうかと歌詞を探すとこんな風でした。
Why did I choose you?
What did I see in you?
I saw the heart you hide so well
I saw a quiet man who had a gentle way
A way that caught me in its glowing spell
Why did I want you?
What could you offer me?
A love to last a life time through
And when I lost my heart so many years ago,
I lost it lovingly and willingly to you...
If I had to choose again,
I would still choose you...
各自、訳を試みられよ。日本語にするとけっこうハズカシイので書くのは自粛。なんというか、英語の強みだなあ。こういう内容を普通に書いて歌にできるというのは。なお、 lost my heart のところは gave my heart の古風な詩的表現のようなので、gave my heart ~ to you でアナタニ ココロヲ ササゲタ になるのかと思う。でないと意味が通らない。ワタクシちょっと引っかかった箇所なので念のため書き添えます。
さて、それを歌っている錚々たる方々のなかで、悩みましたがこの人のこのヴァージョンで聴いてみます。要するにドラマを演出しすぎないのがいい。名曲を、「これこそが名曲」と歌いあげられると(誰とは言いませんが)ちと辟易の感がある。素直に誠実に歌うがよろしい。こういう曲は特にと思う。Marvin Gaye です。