道草食って一年半

 ついついブログの更新を先送り、というよりほったらかしにしていたら

なんと一年半が経っていた。長い道草というかむしろ行方不明に近いかも

しれない。新型コロナの波に呑まれないように逼塞していたという訳では

ないが一応行動の不自由を満喫しつつ、またワクチンも3回頂戴して備え

つつといった日々を過ごしてきた。ブログ的には「かくも長き不在」では

あったが、ここに来てなにやら復活の機運が自分の中で芽生えてきたので

さてさて道草もそろそろこのへんでとなった次第。

 ささやかなブログではあるがこれでも名前の「立ち寄り」どおりに時折

訪れてくださる方がおられるのがありがたい。実はここ数日来のことだが、

ふと思い立って当ブログの管理画面に行ってみたら、更新もしてなかった

にもかかわらず訪問者がちゃんとあるのに恐縮していたのである。ちょっ

とこれはキミなんとかせにゃいかんよ、と良心が囁いたのであった。

 

 もとより当方なんの専門がある訳でもなし、至って気楽なよしなしごと

を漫然と書き連ねるだけなのだが、それをちょっと冷やかしに立ち寄って

くださるのなら嬉しくありがたいことだ。そういうことでまた始めよう。

 

 今のところ興味の赴くところの一つが音楽になるが、これはこれで魅力

の泉。人それぞれに「my favorite」があって、ジャンルが何であれそれは

その人の心の拠り所となるのが音楽というもの。わが年若の友人であるが

こよなくジャズを愛する一人がいて探求心に限りというものがない。古き

を愛でるのは勿論のこと、新しきに対しても広くアンテナを張り収集に怠

りない。琴線に触れるものに出会うと私家版のCDを作って送ってくれる。

ジャケットも丁寧に作成して毎回スキルアップの様子が見える。ちょっと

した工房である。アトリエ〇〇〇〇とデザインしたロゴのシールを貼って

くれているのがまたいい感じ。おかげでずいぶんと知らないでいた逸品に

巡り合えた。ジャズの世界ももはや理論や技法の展開が天井近くまで行っ

てしまった感があってそういう意味ではクラシックの現在と並ぶラインに

あるのかもしれない。より普遍的な意味を持つものになっていると言って

もよいだろう。初期の頃からジャズとクラシックは互いに吸収しあうこと

で洗練の度合いを増してきた経緯があるから当然のことでもある。

 

 そういう新世代のいわば「こだわりのない」ミュージシャンがいろいろ

いて面白い。伸びやかにジャズにおける美を求めるという姿勢がジャズを

より普遍的な音楽にしていくことにつながるのではないかと思う。バップ

にあらずんばジャズにあらずとか前衛(運動)をゴリゴリ押し通すという

窮屈さはむしろ耳にフィルターをかけることにもなりかねない。ピアノを

奏でてそこにどんな響きが生まれてくるのか、それぞれのミュージシャン

がそれを追い求めればいい。それを好んで聴くことができればそこに音楽

の意味の場が生じる。来し方行く末に色々と思いを馳せる時間が、ほら。

 ピアノはイタリアのMichele di ToroそしてベースがロシアのYuri Goloubev

というデュオのアルバム「Duonomics」から「What are you doing the rest

of your life?」という曲。老人には相当に意味深長なタイトルであります。

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