ヒツジのショーン

 そのままのタイトルである。「Shaun the Sheep」、イギリスのアードマン・アニメーションズ制作のアニメで土曜日の午前9時からNHK教育で放送されている。ストップ・モーション・アニメーションという方式で作っているらしい。子供向けということながら、子供だましの気配は一切ない。キャラクターが見せる行動の描き方が実に巧みで、なるほどなあと思わせる設定やシーンが随所にある。動物の視点で描くのでセリフはない。動きと表情だけで引きつけるのだからたいしたものである。大人の方が細やかに楽しめるのではないか。大道具小道具の作り込みが素晴らしい。リアリティの出し方に脱帽だ。模型好きなら欣喜雀躍だろう。

 舞台はヒツジを飼う牧場でイングランドあたりなのだろうか。緑の地域であるが近くにちょっとした町があるようだ。牧場の前のバス停から二階建てバスに乗って行くようだし、スクーターでピザの宅配がしょっちゅう来る。

 一回の放送は三話。一話7分で、牧場主や様々な動物をまきこんでの大騒動が小気味よく展開する。メインキャラクターのヒツジたちはみな黒い顔をしている。おそらくサフォーク種ということだろうと思う。主人公ショーンは、その群れの若きリーダーである。ショーン・コネリーショーン・ビーンを連想する。そういう切れ味のいい名前だ。イングランドウェールズスコットランドアイルランドどこでも通用するし。脇役として牧羊犬のビッツァーが、時にショーンたちに振り回され時に企みに乗せられつつも存在感十分。犬種はどうもよく分からないがビーグルの感じもある。

 ほかに、ティミーという赤ちゃんヒツジ。これはショーンの従弟だ。次期ヒーローになるであろう小さな大物。そのママ・ティミーは頭にカーラーを巻いているのが目印。勿論ほかの動物たちも負けず劣らずの役者ぶりである。牧場主は愛想は悪いが人はよさそうだ。羊たちの行動にはまったく気が付いていない。

 このストップ・モーション・アニメーションという方式であるが、1秒に25フレームの映像を撮る。一話あたり2カ月かかって作るのだそうだ。ひとコマずつ動かしては撮る作業の繰り返し。手抜きのない見事な仕事、これが子供番組である。

 では、その手仕事の隅々まで見てください。「The Big Chase」。大追跡ということですか。

 

 

 もうひとつ、これはちょっとした人情もの。主人思いのビッツァーの気持ちが嬉しい。季節外れだけれどクリスマスです。