夏の思い出

 今朝、散歩の途中で蝉の抜け殻を見つけた。大きな家の立派な塀にしっかりと取り付いて悠々と羽化したようだ。さぞ生まれのいい蝉になったことだろう。ありがたくいただいて大事に持って帰ってきたのである。、

 蝉の抜け殻を見るといつもむかーし昔の夏を思い出す。小学生の頃、幼虫を捕まえてきて羽化を待った。寝ないで見ていたが夜明け近くに始まったその一部始終に目を丸くしたものだった。あとに殻が残るというのも謎だ。触角から目玉までというより何から何までそのまんまというのがどう考えても不思議なのであった。今でもやっぱり謎だ。見つけるとつい立ち止まって手を伸ばしてしまうのである。

 

 毎日じゃーじゃーと賑やかな声でひときわ暑さを感じさせていたアブラゼミたちだが、その精一杯の声もちょっと静まってきた。そういえば日も少しずつ短くなってきたし。この猛々しい夏もようやく勢いがおさまってきた。のだといいですがね。とにかく身にコタエます。

 

 

 コットン・フィールドに吹く風を想像したい。夏の定番の曲だが、ガーシュインの「Summertime」。エラ・フィッツジェラルドルイ・アームストロングコラボレーションでこの曲のこれ以上はないだろうと思わせる。じっと耳を傾け、季節の移り変わりに思いを寄せるのみである。