夕焼けのぜいたく

 今日の夕焼けは素晴らしかった。なにしろ久し振りの休みとあって昼寝をむさぼり、目が覚めたら午後の4時半である。あらもったいないなやと起きてうろうろする間に日が暮れてきた。外を見ると空が夕化粧。傾く日を浴びて輝く周りのビル、西を見れば雲が茜色に染まっている。やや、これは写しておくべしとデジカメを取りだし試みたが、刻々と変わる光の具合を撮るのはなんとも難しいものだ。カシャリカシャリと撮り進むうちにすっかり暮れてしまった。目に焼きついた光景がいちばんよかった。おお、と声が出るのだもの。

 それにしても、と思うのは人間の眼の力、ものを見るということの凄さだ。春夏秋冬、そのときどきに、ふと窓の外を見て眼に映る夕焼けに「お・・・」と驚く。360度の実景の広がり奥行き、空気感、色彩の微妙な変化。これらをすべて捉えてくれる。見えるということのありがたさを心から思う一瞬だ。

 夕焼けはいつも「今のこの時」という感慨を新たにしてくれる。