音楽

動物たちの What a Wonderful World

トゥーツ・シールマンスのハーモニカで「この素晴らしき世界」である。演奏も心に沁みるシールマンスならではの味わいなのだが、この動画、スライドショーになっている写真が興味深い。有名な動物学者が続々と登場しているのをはじめ、種類の異なる動物たち…

チャイコフスキー「秋の歌」

ピアノの曲に「四季」という12曲からなる作品がある。副題が「12の性格的描写」。チャイコフスキーが35・6歳の頃の作品だ。音楽雑誌の企画で依頼され、毎月の季節感をうたったロシアの詩人の作品と、その性格を描写したピアノ曲とのコラボレーション…

アンダンテでいきましょう

"Andante" というとイタリア語の音楽用語の一つで速度を表すことになっている。音楽の時間に、「歩く速さ」で演奏しなさいという意味です、と教わるので「ほう歩く速さね、分かりやした先生」となる。でも、歩く速さってどれくらいなん?と尋ねても多分「人…

ステファン・グラッペリの「枯葉」

フランスのジャズ・ヴァイオリニスト、ステファン・グラッペリの奏でる「枯葉」。元来シャンソンのこの曲を見事にジャズに変貌させている。この曲の名演は数多くあるがその中でも逸品といえる。なにより幸福感が溢れているのがいい。大好きな演奏だ。まるで…

「九月の雨」

今朝からにわか雨が何度か降って、予報とはかなり違ったぞ。気象台とお天道様は意見が合わないようだ。レーダー画像ではちっぽけな雲がやってくるだけなのに、降るとなると一人前の雨であった。曇って大きいのですね。そういえばこれが九月の雨だったか、お…

今宵は月を愛でて

今夜は仲秋の名月。こんなにきれいに晴れた、それだけで何かありがたい感じがしてくる。いいことがありそうな。ものみな治まりますようにと願う気持ちが湧いてくる。月の光は静かに静かに降り注ぐ。 十五夜にちなんでということで「How High the Moon」。エ…

「星影のステラ」

原題は「Stella by Starlight」。ビクター・ヤングが映画『呪いの家』のために作曲し、ジャズのスタンダードナンバーとなっている。あまり上等そうでないタイトルの映画だが、なにしろ1944年の作品だからお目にかかる機会はなかった。出来映えはどうなんでし…

「言い出しかねて」

ジャズのスタンダード・ナンバーのタイトルである。原題は「I Can't Get Started」で1935年の曲。それを「言い出しかねて」と訳し、以後定着している。いかにも日本人好みの切なさを身にまとった題ではあるが、意訳というより誤訳だとの指摘もある。もとは歌…

プレヴィン その2

アンドレ・プレヴィンがピアノを弾きながら指揮もするところ。モーツアルトの「ピアノ協奏曲第24番ハ短調 K491」です。オーケストラはイギリスのロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団。プレヴインは1985年から1992年まで音楽監督や首席指揮者を務めている。…

あっぱれプレヴィン

アンドレ・プレヴィンのことは指揮者として知る人とジャズピアノで知る人とに分かれるかもしれない。映画音楽の人としてはもしかするともっと知られていなかったりして。編曲を含めてアカデミー音楽賞を四回受賞しているのだが。例えばあの「マイ・フェア・…

マエストロ問題

音楽界で使われる「マエストロ」という呼称は我が国の言葉だと大家(注:長屋の「おおや」ではなく「たいか」です)とか巨匠とかいうことになる。イタリア由来の言葉で、その源をたどれば「より大きい」「より優れた」という比較級の意味合いのラテン語なの…

即興曲

シューベルトに「Impromptus」という名のピアノ曲集がある。4曲ずつの二組、作品番号では90と142となっている。中では90の2番と4番が広く親しまれている。ピアノを習うと決まって練習することになる曲だからだ。よく用いられる全音の楽譜の学習体系では中…

クライバーの場合は

エーリッヒではなく息子の方、カルロス・クライバーの1970年のリハーサルと本番の記録が残っている。これはもはや「指導」と「発表」のドキュメンタリーであります。曲目はシュトラウスの「こうもり序曲」。クライバーにとっては自分の曲のようなもので、楽…

夏の思い出

今朝、散歩の途中で蝉の抜け殻を見つけた。大きな家の立派な塀にしっかりと取り付いて悠々と羽化したようだ。さぞ生まれのいい蝉になったことだろう。ありがたくいただいて大事に持って帰ってきたのである。、 蝉の抜け殻を見るといつもむかーし昔の夏を思い…

カラヤンのおまけ2コ

モーツアルトの交響曲第41番の終楽章もあった。こっちの方も面白いです。5分過ぎには笑い声も聴こえていい感じだ。カラヤンも言いたいこといっぱいあるようで割とセリフが多い。といってもドイツ語でしゃべってるからアッシにはさっぱり分からんですが。…

カラヤンの登場

ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908~1989)、クラシックのマーケットを40年以上にわたって支配した。いまだにその威光は衰えていないかのようだ。帝王とも世界チャンピオンとも呼ばれる指揮者である。確かに彼のレパートリーの広大さは無類のものがあり…

トスカニーニとフルトヴェングラー

前エントリーでトスカニーニがオーケストラに練習をつけるところを取り上げた。NBC交響楽団はトスカニーニが優秀なメンバーを直接リクルート(recruit新兵募集)して作った。その練習の様子はまさにブートキャンプ(boot camp新兵訓練)である。結果、オ…

我こそはアルトゥーロ・トスカニーニ

オーケストラの指揮者はなんだか別格の「超芸術家」のように思われている。確かに(よくは分からないが)すごいことをしてるように見える。燕尾服でかっこいいし、大勢の楽団員を思うがままに扱い長い長い曲を汗だくになって聴かせてくれる。身振りを見てる…

梅雨明けのファンファーレ

秋田気象台は、8月3日東北地方北部は梅雨明けしたと思われると発表した。「思われる」と遠慮がちではあるが、お上を疑ってはいけないから、はい夏本番なのですねと承知するのである。わが身はどうも犬種で言うならば北方系らしく、ハスキー犬かマラミュー…

ウイントンとセルゲイ

パガニーニの「無窮動」をトランペットで吹いてしまう二人だ。元はヴァイオリンの曲。それを吹くとなると音域の広さからしても一仕事なのに、ただ事でない速さである。細かい音符を開始から一貫して吹き通さなければならない。管楽器奏者にとってはエライ曲…

音のこともう少し

前のエントリーで絶対音感のことを少し書いたが、その際に貼り付けた動画の中で、様々な音が「ドレミ・・・」で聴こえてしまうと描かれていた。このことは絶対音感の神話化と共に誤解されて広まっていることでもあるので用心が必要だ。足音でもドアを閉める…

音感と幸福感

世のお母様方の中には、某大手楽器メーカーの展開する音楽教室の謳い文句を真に受けて「絶対音感」が才能の証と思い込んでいる向きもあるようだが要御用心。あろうことかそれによってIQが高くなるなどと宣伝して無意味な訓練を幼児に施す教室もあり、ネット…

音の不思議

言うまでもなく、音楽は音でできている。それも偶然のものではなく意図的なもので。作曲であれば構成され設計された音、演奏であれば人の手によって表現の姿を与えられた音ということになるだろう。そして、この意図と表現の一致の実現に音楽家は一生をかけ…

「Over the Rainbow」

映画『オズの魔法使』(1939年)でドロシー役のジュディ・ガーランドが歌う有名なナンバーの登場である。唐突のようだが、実はガーシュインつながりであった。アイラの方で縁がある。 この歌をめぐっては何度かピンチがあったという。歌ができてからで言えば…

「Embraceable You」

ガーシュインの続きであります。またしても、と言うなかれ。ガーシュイン兄弟の作りだした歌はどれも傑作ばかり。メロディ構成の巧みさ、コード進行の工夫と冴え、ありきたりのものは一曲としてない。アメリカ音楽のスタイルを切り開いて行くコンサート・ミ…

「Someone To Watch Over Me」

これもガーシュイン兄弟の曲。邦題は「やさしき伴侶を」となっていたり、「誰かが私を見つめてる」と、ちょっとマチガイっぽい訳になっていたりするが、前者がニュアンスとしては近いだろう。調べると、 watch over は世話をするとか見守るという意味のよう…

「The Man I Love」

ガーシュイン兄弟の作った歌である。アイラとジョージ、兄が詞を書き弟が作曲した。いつの日か愛する人が現われる・・・・その時を思う心模様をしっとりと描く。1924年の作だが脚光を浴びるまで4年かかった。しかも、まずロンドンで流行、やがてパリでヒッ…

英国の音楽

小さな島ながら英国はイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドからなる連合王国であり、かつ英連邦王国の一国であるというまことにややこしい国。実のところ、アイルランドもひっくるめて一つのイギリスだと思っている場合が多いだろうし…

「威風堂々」

今や卒業式の音楽として日本中の学校で使われているのがエルガーの行進曲「威風堂々 第1番」。大抵はトリオのメロディに乗って卒業生が式場に入場してくる。小学生に威風堂々というのも「ちょっと、少し・・・」いう感じがしないでもないが、音楽で表情もき…

「スターダスト」その2

ナット・キング・コールの歌で。この声と発音の明快さはなんともいえない心地よさで包んでくれるではないか。抑えた中にもにじみ出る切なさがいい。男のスターダスト代表。 一方、女性歌手となると代表は?この歌の場合、これは難しい。上手な歌手がひしめく…