2013-01-01から1年間の記事一覧

あっぱれプレヴィン

アンドレ・プレヴィンのことは指揮者として知る人とジャズピアノで知る人とに分かれるかもしれない。映画音楽の人としてはもしかするともっと知られていなかったりして。編曲を含めてアカデミー音楽賞を四回受賞しているのだが。例えばあの「マイ・フェア・…

マエストロ問題

音楽界で使われる「マエストロ」という呼称は我が国の言葉だと大家(注:長屋の「おおや」ではなく「たいか」です)とか巨匠とかいうことになる。イタリア由来の言葉で、その源をたどれば「より大きい」「より優れた」という比較級の意味合いのラテン語なの…

即興曲

シューベルトに「Impromptus」という名のピアノ曲集がある。4曲ずつの二組、作品番号では90と142となっている。中では90の2番と4番が広く親しまれている。ピアノを習うと決まって練習することになる曲だからだ。よく用いられる全音の楽譜の学習体系では中…

ヒツジのショーン

そのままのタイトルである。「Shaun the Sheep」、イギリスのアードマン・アニメーションズ制作のアニメで土曜日の午前9時からNHK教育で放送されている。ストップ・モーション・アニメーションという方式で作っているらしい。子供向けということながら、…

クライバーの場合は

エーリッヒではなく息子の方、カルロス・クライバーの1970年のリハーサルと本番の記録が残っている。これはもはや「指導」と「発表」のドキュメンタリーであります。曲目はシュトラウスの「こうもり序曲」。クライバーにとっては自分の曲のようなもので、楽…

夏の思い出

今朝、散歩の途中で蝉の抜け殻を見つけた。大きな家の立派な塀にしっかりと取り付いて悠々と羽化したようだ。さぞ生まれのいい蝉になったことだろう。ありがたくいただいて大事に持って帰ってきたのである。、 蝉の抜け殻を見るといつもむかーし昔の夏を思い…

Remembrance Sunday を見て下さい

追悼するとは忘れないということ。戦没者を追悼する行事は国によって様々なのは当然であるが、それぞれの国の国民の意識がはっきりと表れるように思う。我が国の8月15日をめぐる騒然たる情景が、戦場に命を落とした将兵の短かった生を貶めていることに気…

8月15日に

毎年のことながら、相変わらずTVも新聞も今日8月15日を騒がしく扱っている。登場する名のある人々の多くが「立場」でものを言う。賢しげである。己の信奉する思想に拠って、それのみが正しいと声高らかである。見苦しい。戦死者を貶める者もいる。守ら…

カラヤンのおまけ2コ

モーツアルトの交響曲第41番の終楽章もあった。こっちの方も面白いです。5分過ぎには笑い声も聴こえていい感じだ。カラヤンも言いたいこといっぱいあるようで割とセリフが多い。といってもドイツ語でしゃべってるからアッシにはさっぱり分からんですが。…

カラヤンの登場

ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908~1989)、クラシックのマーケットを40年以上にわたって支配した。いまだにその威光は衰えていないかのようだ。帝王とも世界チャンピオンとも呼ばれる指揮者である。確かに彼のレパートリーの広大さは無類のものがあり…

トスカニーニとフルトヴェングラー

前エントリーでトスカニーニがオーケストラに練習をつけるところを取り上げた。NBC交響楽団はトスカニーニが優秀なメンバーを直接リクルート(recruit新兵募集)して作った。その練習の様子はまさにブートキャンプ(boot camp新兵訓練)である。結果、オ…

我こそはアルトゥーロ・トスカニーニ

オーケストラの指揮者はなんだか別格の「超芸術家」のように思われている。確かに(よくは分からないが)すごいことをしてるように見える。燕尾服でかっこいいし、大勢の楽団員を思うがままに扱い長い長い曲を汗だくになって聴かせてくれる。身振りを見てる…

梅雨明けのファンファーレ

秋田気象台は、8月3日東北地方北部は梅雨明けしたと思われると発表した。「思われる」と遠慮がちではあるが、お上を疑ってはいけないから、はい夏本番なのですねと承知するのである。わが身はどうも犬種で言うならば北方系らしく、ハスキー犬かマラミュー…

ウイントンとセルゲイ

パガニーニの「無窮動」をトランペットで吹いてしまう二人だ。元はヴァイオリンの曲。それを吹くとなると音域の広さからしても一仕事なのに、ただ事でない速さである。細かい音符を開始から一貫して吹き通さなければならない。管楽器奏者にとってはエライ曲…

音のこともう少し

前のエントリーで絶対音感のことを少し書いたが、その際に貼り付けた動画の中で、様々な音が「ドレミ・・・」で聴こえてしまうと描かれていた。このことは絶対音感の神話化と共に誤解されて広まっていることでもあるので用心が必要だ。足音でもドアを閉める…

音感と幸福感

世のお母様方の中には、某大手楽器メーカーの展開する音楽教室の謳い文句を真に受けて「絶対音感」が才能の証と思い込んでいる向きもあるようだが要御用心。あろうことかそれによってIQが高くなるなどと宣伝して無意味な訓練を幼児に施す教室もあり、ネット…

音の不思議

言うまでもなく、音楽は音でできている。それも偶然のものではなく意図的なもので。作曲であれば構成され設計された音、演奏であれば人の手によって表現の姿を与えられた音ということになるだろう。そして、この意図と表現の一致の実現に音楽家は一生をかけ…

ハイシャ復活

あらまし2週間、ブログの更新ができずにいた。理由は「歯」である。虫歯などという牧歌的なものにあらず。奥歯を半割りにして抜き、後の骨の穴を工事するという「歯周外科手術」を受けたのである。 顔にタオルを掛けられ、チョイ右を向けだの今度は左に頑張…

これはまたなんと・・・・

とびっきり大らかな川下りである。初めて見たときには唖然呆然であった。が、なんともゆったりとしたいかにもアジアの風景で肩の力が抜ける。ベトナムのホーチミン市街を流れるサイゴン川。それにしても巧みな操縦である。楽しいだろうなあと羨ましいかぎり…

「Over the Rainbow」

映画『オズの魔法使』(1939年)でドロシー役のジュディ・ガーランドが歌う有名なナンバーの登場である。唐突のようだが、実はガーシュインつながりであった。アイラの方で縁がある。 この歌をめぐっては何度かピンチがあったという。歌ができてからで言えば…

「Embraceable You」

ガーシュインの続きであります。またしても、と言うなかれ。ガーシュイン兄弟の作りだした歌はどれも傑作ばかり。メロディ構成の巧みさ、コード進行の工夫と冴え、ありきたりのものは一曲としてない。アメリカ音楽のスタイルを切り開いて行くコンサート・ミ…

「Someone To Watch Over Me」

これもガーシュイン兄弟の曲。邦題は「やさしき伴侶を」となっていたり、「誰かが私を見つめてる」と、ちょっとマチガイっぽい訳になっていたりするが、前者がニュアンスとしては近いだろう。調べると、 watch over は世話をするとか見守るという意味のよう…

「The Man I Love」

ガーシュイン兄弟の作った歌である。アイラとジョージ、兄が詞を書き弟が作曲した。いつの日か愛する人が現われる・・・・その時を思う心模様をしっとりと描く。1924年の作だが脚光を浴びるまで4年かかった。しかも、まずロンドンで流行、やがてパリでヒッ…

英国の音楽

小さな島ながら英国はイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドからなる連合王国であり、かつ英連邦王国の一国であるというまことにややこしい国。実のところ、アイルランドもひっくるめて一つのイギリスだと思っている場合が多いだろうし…

「威風堂々」

今や卒業式の音楽として日本中の学校で使われているのがエルガーの行進曲「威風堂々 第1番」。大抵はトリオのメロディに乗って卒業生が式場に入場してくる。小学生に威風堂々というのも「ちょっと、少し・・・」いう感じがしないでもないが、音楽で表情もき…

「スターダスト」その2

ナット・キング・コールの歌で。この声と発音の明快さはなんともいえない心地よさで包んでくれるではないか。抑えた中にもにじみ出る切なさがいい。男のスターダスト代表。 一方、女性歌手となると代表は?この歌の場合、これは難しい。上手な歌手がひしめく…

服部正也著『ルワンダ中央銀行総裁日記』

今から40年前、1972年初版の中公新書。同年に毎日出版文化賞を受賞した。その後1990年以後のルワンダ動乱に伴う虐殺や大量難民の状況などをめぐる欧米メディアの報道姿勢とそれに追随する日本の報道への疑問を述べた論考「ルワンダ動乱は正しく伝…

雨の土曜日

ここのところずっと真夏日の連続で閉口した。梅雨開けどころか入りもしない内だったから体がついていかない。途中で旨いビールを飲んでどうにか持ちこたえたのであった。ともかく、「あーくたびれた」の一週間がようやく過ぎて、今日は朝からしっとりと雨模…

これぞ季節の味

山菜と竹の子(根曲がり筍)採りに凝っている友人がいて、この季節になると毎週末の山通いである。しかしながら今年の山は彼の師匠である名人も首を傾げるほどの有様。「ない」のだという。これも長々と続いた寒さのせいであろうかと悲嘆にくれていたのであ…

バッハを聴きましょう その2

伴奏なしのメロディ楽器一本での演奏のとき、「無伴奏」と言われる。「無伴奏チェロ組曲」「無伴奏ヴァイオリンソナタ」などなど。その題名だけで、何か相当の覚悟がいるような雰囲気が伝わってくる。ピアノの時はそう言わない。鍵盤楽器は指の数だけ一度に…